連載エッセイ【トーキョー⇔キタカル往復暮らし】②
(2018年7月発行『karu×2』Vol.2 掲載記事)
本誌編集長が、監修するキャンプ場『アースマイルビレッジ』のある北軽井沢と、自宅のある東京との往復生活の近況を、地域密着型スーパー『ツルヤ』軽井沢店で出会ったお気に入り食材の紹介とともにお届けします。新鮮な高原野菜が出回る夏をより華やかにしてくれるのは、ドレッシング!
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雨ニモマケズ風ニモマケズ、いつ何時でもオートバイ! だった、やや変態な私だが、この雑誌を創刊してからというもの、取材でクルマを運転する機会が増えて、まだまだ半人前ながらも、目下ドライブの楽しさにハマっている。
特に好きなのは、パーキングやサービスエリアで、クルマから降りる瞬間。「おいおい、運転じゃないのかよ」とのツッコミが聞こえてきそうだけど聞いてください。だいたいSAやPAって、山の中にあるでしょう? すると、風に乗って運ばれてきた清々しい木々の香りが、不意に鼻孔から脳天へと突き抜けてハッとするのです。
「いま私、田舎に出かけてきているんだわ!」
オートバイにはない、空間移動ゆえの劇的なワープ感に胸が躍って、クルマの傍らでフガフガと深呼吸が止まらなくなる。やっぱり変態かな。
そうこうしているうちに、監修している北軽井沢のキャンプ場が今年もオープンし、管理人を務める夫とともに、東京とキタカルを行ったり来たりの二重生活が始まった。キタカルの自然は相変わらず美しく、軽井沢のスーパー「ツルヤ」での買い物はいつも楽しく、キャンパーたちの笑顔を眺める週末はとても幸せ……。
である半面、この往復暮らしのために断腸の思いでお別れしたものもある。あぁ愛しの“糠漬け生活”よ!
去年、キタカルに発つ前にかき混ぜ忘れた冷蔵庫の中の糠床が、東京に戻ってきたらまさかのカビ野郎に侵されていた、という悲しい出来事があった。糠床は生き物だ。どんなに指先が冷える冬の朝も、「美味しくなあれ」と声をかけながら丁寧にかき混ぜ大切に育ててきたから、それはもう名前をつけたいくらいに愛おしい。そんな彼女を捨てなければならなかった悲しみと言ったら、パソコンがフリーズして完成間近の原稿が消えちゃったときの上を行ったね。
よって、今年は往復暮らしが終わる晩秋まで糠漬け生活を断念。泣く泣く冷凍庫の奥にしまったのだけど……。やっぱり恋しい糠漬けちゃん。あの塩酸っぱさ。糠床をかき回した手にうっすら残る、郷愁を誘う発酵臭。同じ発酵食品を摂取すれば気も休まるかと、納豆を一日に三パック平らげてしまう、やや狂乱気味な自分がいる。違うぞ、ユリコ。おまえに必要なのは野菜だ。野菜を気軽に美味しくバリバリと食べられる、別の方法はないものか……。
と思っていたら、ありました。「ツルヤオリジナルディップ&ドレッシング」が! お気に入りの「信州わさびマヨ風」は、ツーンとしっかりわさびが効いた大人の風味で、野菜のうまみを魔法のように引き立ててくれるから、セロリもブロッコリーもバリバリいけちゃう。これからの季節、浅間山麓は新鮮野菜の宝庫だから、毎週末クルマを走らせ直売所を巡るなんて幸せだな!
人生はきっとあっという間だ。糠漬けとの別れを憂う暇があるなら、東京では滅多に出回らない、衝撃的に分厚くてフルーツのように甘い信州産のパプリカに迷わずかぶりつけ。自然のそばに身を置いて、目の前の四季を、大人げないくらい欲張りに、身に、心に胸に刻む生き方。サウイフモノニ、ワタシハナリタイ。
「スーパーマーケット ツルヤ軽井沢店」
長野県内に30店舗以上を展開する地域密着型スーパーマーケット『ツルヤ』は、信州産の新鮮な食材に加えてオリジナル商品も豊富で、“ここでしか買えない”感が訪れる者の財布の紐を緩ませる。カルカル取材対象エリアには、カルカル配布協力店舗である軽井沢店を含めて7店舗あり、別荘族向けの高級食材からお手頃価格のオリジナル品までがそろう軽井沢店は一番人気。混雑を避けてゆったり買い物をしたい人には、御代田や小諸の他店舗もおすすめだ。軽井沢店:長野県北佐久郡軽井沢町長倉2707
《文・写真/小林夕里子》
この記事を書いた人
『karu×2』編集長。“アクティブ&ナチュラル”なライフスタイルを自ら楽しみ発信する自然派エッセイスト。ニックネームは「コバユリ」。新聞や雑誌、ウェブメディアで主にオートバイのある暮らしの魅力を綴る。著書に『へなちょこライダーが行く!』(デザインエッグ社)がある。MOTOアウトドアブランド『nomadica』代表。(公社)日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。(公社)日本キャンプ協会認定キャンプインストラクター課程修了。cobayuri.com